2025.01.17
医療ニュース
扁桃腺がんのオンラインセカンドオピニオン
2024年12月中旬、瀛の医療は、治療方針での悩みを抱える患者様(Yさん)とそのご家族からセカンドオピニオンについてのご相談を受けました。
Yさんは10月に扁桃腺がんと診断され、10月末にご自身の地元の病院で腫瘍切除術を受けています。
発症から診断、腫瘍の切除に至るまですべて滞りなく行われ、術後約2ヶ月で傷は治ってきているものの、今後の治療の必要性と具体的な治療方法や治療の開始時期などについて悩んでおり、日本の医師からもアドバイスをいただきたいということでした。
手術を行った中国の主治医からは、術後、再発防止のために追加の放射線治療を勧められたとのことですが、他の病院や手術を受けた病院の医師の中には、他の治療を行う必要はなく、定期的な観察をするだけで十分だという意見もあったそうです。
異なる意見に戸惑うYさんとご家族から助けを求められた瀛の医療は、すぐに患者様の診療録を整理・翻訳し、医療情報提供書を作成、順天堂大学病院頭頸部腫瘍科の松本教授に提出して10日後の12月26日にオンラインセカンドオピニオンのセッティングを行いました。
実施当日、松本教授からは以下のご指摘がありました。
- 手術中にがんが完全に切除された場合、手術後に追加の治療は必要ないが、提供された病理報告書には、腫瘍が完全に切除されたかどうかが記載されていなかったため、切除断端が陽性である可能性があり、他の治療が必要となる。現時点では放射線療法が最も適切だが、放射線療法と併用した化学療法が推奨される場合もある。
- 具体的な放射線治療については一般的なX線治療が用いられ、総線量60~70Gyを30回以上に分けて照射する。
- 化学療法については、シスプラチンを単独で3週間ごとに計3回の化学療法を行うことが推奨されている。
- 放射線療法や化学療法を開始するタイミングについては、原則として術後2ヶ月以内に行う必要があり、Yさんは10月28日に切除手術を受けたため、できるだけ早く放射線治療と化学療法を実施することが推奨される。
松本教授はYさんの質問について、詳しく回答・説明し、今後の治療の方向性を明確にしました。
Yさんは、松本教授のお話を受け、放射線療法と化学療法をできるだけ早く開始するよう主治医に交渉すること、さらに治療または再検査のための日本への渡航も検討していることをお話されていました。
術後の病理検査を行い切除断端が陰性か陽性かを診断することは、術後の放射線療法と化学療法が必要かどうかの根拠となります。術後の画像検査だけではそれを補うことができません。
手術後の腫瘍再発率については、日本の再発率は20~30%に過ぎないと松本先生は答えました。定期的な検診と早期発見を推奨することに加えて、適切な診断と治療を厳密に行い、曖昧な治療意見を避けることも肝心です。
1人でも多くの患者にこのような「迷い」を与えないように、私たちは引き続き努力して参ります。